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» 2010年05月21日 00時00分 公開

おばかアプリ作成のための超まじめな勉強会レポートD89クリップ(16)(3/3 ページ)

[仲里淳,@IT]
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異なる分野の人でも楽しめるアプリを目指そう

 AR三兄弟の長男を名乗る川田十夢さんは、AR(拡張現実)技術を駆使したアプリ開発とパフォーマンスで一躍時の人となったクリエータ。今回は、「私が“おばか”なアイデアを形にしたプロセスは、こうだ」という、勉強会のコンセプト直球ど真ん中のプレゼンテーションを披露した。

角メットを被って登場したAR三兄弟の川田十夢さん 角メットを被って登場したAR三兄弟の川田十夢さん

 プレゼンの中で取り上げられたのは、第3回おばかアプリ選手権でMashup Awards賞に輝いた「農力村の三兄弟」という作品。アプリと呼ぶべきかパフォーマンスと呼ぶべきかは大いに意見が分かれるところだが、そのコンセプトは「ミステリーサークルはARマーカーではないのか?」という仮説だったという。その検証として行ったのは、群馬県の稲畑で稲穂をマーカーに加工する作業。移動に4時間、作業に4時間も費やした。

「農力村の三兄弟」。4時間を費やして完成した稲穂ARマーカー。見事にアプリから認識された(川田さんの講演資料29枚目より)(詳細) 「農力村の三兄弟」。4時間を費やして完成した稲穂ARマーカー。見事にアプリから認識された(川田さんの講演資料29枚目より)(詳細

 一通り制作プロセスとデモ(稲穂で作ったARマーカーは見事認識された!)映像を紹介した後にポイントとして挙げたのは、「内輪(WebやIT業界内)だけでなく、外の人(別の業界)でも楽しめるものを作れば、結果的に多くの人に伝わる」ということ。「農力村の三兄弟」でも、稲畑を貸してくれた人に説明した際、(何となくだろうが)面白いと感じてもらえたそうだ。

この日はソロ活動の川田さん。「自己紹介代わりにビームを発射します」とさりげなく(?)ARを披露。ビビビビィィィィィィーッ!! この日はソロ活動の川田さん。「自己紹介代わりにビームを発射します」とさりげなく(?)ARを披露。ビビビビィィィィィィーッ!!

センサやUIの開発が簡単なWin7は、おばかアプリに最適

 選手権経験者によるセッションに続いて行われたのは、マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部エバンジェリストの岩田雅樹さんによる技術情報の紹介。まず、おばかアプリに限らず、近年のアプリケーションにおいてデザインやユーザーインターフェイスが重要視されていることに触れ、マイクロソフトのデザイナ向けツールである「Expression 3」を紹介した。

マイクロソフトの岩田さん。手にしているのは加速度センサが載ったボードで、USBを介してWindows 7と通信する マイクロソフトの岩田さん。手にしているのは加速度センサが載ったボードで、USBを介してWindows 7と通信する

 Expressionは、グラフィック制作ツール、Webデザインツール、Webアプリケーション開発ツールなどを含む、マイクロソフトのWebクリエータ向け製品群である。デザイナの定番ツールといわれるIllustratorやPhotoshopのデータ読み込みが可能なうえ、そのままWindowsのユーザーインターフェイス開発言語であるXAMLに変換できるため、アプリケーション開発をスムーズに行うことができるという。

 岩田さんは、実際にIllustratorのファイルを読み込み、それをオブジェクトとしてVisual Studio上で簡単なプログラムを作って回転させるというデモを行った。

 次に、Windows 7で大幅に追加されたユーザーインターフェイスやセンサにかかわる機能を紹介し、加速度センサを用いてデモを行った。Windows 7には、マルチタッチやセンサ、ロケーション(位置情報)といった機能が追加されており、数行のコードを追加するだけで、それを利用したアプリを開発できる。

フライパンに見立てた加速度センサを振ると、その動きに合わせて「レシピおじさん」(という名前らしい)が回転する フライパンに見立てた加速度センサを振ると、その動きに合わせて「レシピおじさん」(という名前らしい)が回転する

 このほかにも、Windows 7のマルチタッチアプリケーション開発やセンサアプリケーション開発が動画で紹介された。動画は、「Windows 7で実現する新しいアプリケーションの世界を動画でみよう」で公開されているので、Windows 7アプリ作成に興味のある方は、観ておくと参考になるはずだ。 ほかにも、岩田さんがデモで使ったアプリのコードを含むサンプルプログラム集がダウンロードできるので、こちらも参考にしてみてはいかがだろうか。


絶対に仕事ではできない戦いが、そこにはある

 おばかアプリといいつつも、緊張感漂う雰囲気の中で開催された勉強会。極意と心得を語った登壇者に共通していたのは、「自分が好きなことを楽しみながらやる」という点だ。スキや遊び心がないアプリは、いつもの仕事で嫌というほど触れているはずなので、おばかアプリ選手権では、それとは異なる間逆のものを目指してみるといいのではないだろうか。

 また、Windows 7のセンサーAPIを使うと思いのほか簡単にデータを取得できることに驚いた方もいたのではないだろうか。これを機会に、Windows 7アプリ開発にも触れてみると、新たな発見があるかもしれない。

勉強会の終了後には、軽食をつまみながら参加者による懇親会が行われた 勉強会の終了後には、軽食をつまみながら参加者による懇親会が行われた

 いずれにせよ、おばかWindows 7アプリ選手権の応募締め切りが迫っている。残り数日しかないが、飛び抜けたアイデアさえあれば良い勝負ができてしまうのがおばかアプリ。栄光の「おばかップ(O杯)」目指し、いま一度ネタ…… ではなくてアプリを見直して、ギリギリまでブラッシュアップを続けてみてはいかがだろうか。

          Ustreamで生中継した勉強会の動画

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