「i-1グランプリ」は、iPhoneを走らせるアプリやしかけであり、さらにそれでレースをして楽しもうというプロジェクトだ。このiPhoneを走らせる仕組みだが、iPhoneのケースに歯ブラシの先っちょのような部分を“絶妙のバランス”(ここが重要)で取り付けることで、バイブ機能の振動によってiPhoneが走り出すというものだ。
会場でのデモは、一畳ほどの大きさのレース場を設置して、実際にiPhoneを走行させて行われた。
走行用パーツの開発にあたっては、実際にiPhoneを分解してバイブ用モーターの位置を確認するなど、試行錯誤が重ねていったという。
AR三兄弟が、最近気になっていることとして挙げたのが、「おいおい、そりゃねぇよ」的なニュアンスで使われる「冗談は顔だけにしてよ」という表現。慣用句のように何気なく使っている人も多いと思うが、冷静になって考えるとこれって相当ヒドイことを言っている。そんな言葉を世界で最初に浴びせられた人はカワイソウだなと思って調べたら、海外ドラマ「アーノルド坊やは人気者」から生まれたセリフであると突き止めた。そこから発想したのがARアプリの「永久お面」。もともと、ARマーカーのお面が1つあれば、毎年祭りの度に買わずに済むというアプリだったが、それに「その顔は冗談なのかどうか」という判定機能を追加した。アプリのデモでは、さまざまな顔を表示してその「冗談具合」を判定してみせた。
AR三兄弟がもう1つ気になっていた言葉が「不謹慎」。どこまで許されて、どこからが不謹慎なのか。どうもその線引きがあいまいだということで、それをAR技術によってビシッと判定してしまうのが「不謹慎センサ」。
「葬式でどれくらい大声を出したら不謹慎なのか」「喪服をどれくらい着崩したら不謹慎なのか(3人が喪服姿で登場したのはこのデモのため)」「どのくらい肌を露出したら不謹慎なのか」「乳首を隠していればOKなのか、片方だけならOKなのか」「裸はNGでもフンドシ姿はOKなのか」などなど、事前にどこからが不謹慎かわかっていれば怖くないというわけだ。
不謹慎センサの判定は、音の認識、動きの認識、肌の露出具合のパーセンテージ(赤ふんどし検出センサ)など、さまざまな技術を駆使して行っているとのこと。不謹慎を自動反転して、マズイ映像にはモザイクをかけるなど、テレビ番組の制作現場で需要があるかもしれないとしている。
注目の審査結果と受賞作品、受賞者のコメントは次のとおり。
●Windows Azure賞:pigg Fighter
【日本マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 部長の平野和順さんからのコメント】
「楽しませていただいてありがとうございます。Windows Azureを使っていないことは重々知っていますが(笑)、もしAzureで対戦型とか作ってもらえるならライセンスを提供します。賞品は、しつこいかもしれませんが、またKinectを差し上げます」
【サイバーエージェントのコメント】
「Windows Azure賞ありがとうございます。Windows Azureを使っていないアプリなのにもらえてうれしいです。今後もpigg Fighterでカップルが多く生まれるといいなと思います。ありがとうございました」
●Windows Phone 7賞:Windows Hige Simulator(チームDNP)
【日本マイクロソフト株式会社デベロッパー&プラットフォーム統括本部エバンジェリストの長坂一則さんからのコメント】
「おめでとうございます。Windows Phoneは日本ではまだ出ていないのに※、使っていただいてどうもありがとうございます。すばらしかったと思います。今後もWindows Phoneをよろしくお願いします」
※イベント後の8月25日にauからWindows Phone IS12T TOSHIBAが発売
【チームDNPのコメント】
「今後もWindows Phoneを使ってヒゲを生やしていっぱいモテたいと思います。ありがとうございました。」
●Windows Phone 7賞:i1グランプリ(シャコガレージ)
【日本マイクロソフト株式会社デベロッパー&プラットフォーム統括本部エバンジェリストの長坂一則さんからのコメント】
「おめでとうございます。Windows Phoneは使われていませんでしたが、iPhoneとWindows Phoneを耐久レースで勝負させたら、どちらが電池の持ちがいいか判明すると思いますので、ぜひよろしくお願いします」
【チーム シャコガレージさんのコメント】
「ぜひ、iPhone、Android、Windows Phoneの3つどもえの戦いを、品川の日本マイクロソフトさんのオフィスでやらせていただきたいと思います。あありがとうございました」
●第5回おばかアプリ大賞:UNTレーダー(GEOHEX)
【GEOHEXさんのコメント】
「ありがとうございます。うんこさまさまです。@ITさん、日本マイクロソフトさんはじめ、皆さんがいるこんなすばらしい場で賞をいただけて無茶苦茶うれしいです。UNTIC.JPにアクセスして、うんこの発見報告をしてください!」
いつもどおり、にぎやかで楽しく終了した今回のおばかアプリ選手権だが、イベントの休憩時間には、東日本大震災に関するトークコーナーを設け、被災地で活動を行ったWindows Azure User Group(JAZ)、Fandroid EAST JAPAN、カヤックからの報告がなされた。
震災直後に日本赤十字社や岩手県の自治体をはじめ、震災に関連するサイトがアクセス集中で不安定になった。その際に、キャッシュサーバをWindows Azure上に構築することで負荷分散を行い、情報提供を維持し続けたというエンジニアの活動が、JAZの富田さんから紹介された。
キャッシュサイトを作る際、クラウドは一度仕組みを作れば横展開は容易であったという利点を挙げつつ、一方で課題となったのが著作権の扱いだったと語る。コンテンツには権利があるので事前に承諾を得るべきではあるが、自治体や公共団体はそれどころではない状態だった。さらに、キャッシュしにくいURL構造もあるなど、今回の経験を機に改善すべきことが見えたという。
カヤックでは、震災を機に3か月限定で仙台支社を立ち上げるクリエータ支援プロジェクト実施した。東北はもともと組み込み系開発者の人材が豊富なエリアだったこともあり、JavaやC言語のプログラマも多かった。そこでAndroid開発に焦点を当て、カヤックからアプリ開発を発注したり、Fandroid EAST JAPANの立ち上げなどに協力した。
東日本大震災を機に設立された「Fandroid EAST JAPAN」は、仙台を中心とした企業や個人で構成されるAndroid開発の団体で、現在は企業が30社、個人が50名ほどが参加している。東北のクリエータに仕事を生み出し、東北をAndroidの集積地にしていくことを目的としている。中心となって活動する佐藤慧さんは、設立経緯やこれまでの成果を紹介するとともに、今後3年で3倍の規模にしていきたいと抱負を語った。
震災復興のチャリティイベントとして、みなさんからの多くの募金をいただいたことに感謝したい。
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