――売れるモノや企画を作るには、どんなスキルが必要になりますか
坂本 手先のスキルは必要じゃなくて、大事なのはコミュニケーションです。若い人たちへのアドバイスをお願いされたときは「まずは就職してください」といいます。これがやりたい! の前に、会社の中で働いて、モノが生まれたり売れていったりする事情や過程をよく知っておくことが大事です。
クリエイターが世の中に何かを出す際に「こういうものって素晴らしいでしょ!」と提案して商品が生まれることは実際の世界では少なくて、メーカーさんが「こういう部材が余っているから消化するために企画を立ててくれ」とか、「売り場でこういう系列のモノが欲しいんだよね」とか、みんなの事情が絡まり合って商品が誕生して市場に出ていきます。
ユーザーもメーカーもみんなが幸せになれるように、どう整合性を取るか、それこそが企画です。この流れの中で生まれたモノが、結果的に優れたモノになります。この事情や構造を把握してユーザーやメーカーさんときちんとコミュニケーションが取れれば、つたないスキルであっても伝えたいことは伝わるし、いい仕事ができると思います。
――商品のプロモーションはどうしていますか
武笠 プロモーションはほぼしていません。広告費がほとんどかけられないので、そもそも広告費を必要としないモノを考える必要があります。口コミを誘発する仕掛けを商品に持たせます。土下座ストラップなら、何か借りたときに「ありがとう」と渡してみたり、人に紹介したりすること自体が楽しいという状況が生まれる商品作りを心掛けています。
坂本 そうですね。単純に口コミで広がるというのではなくて、ユーザーもメーカーさんもみんなで一緒になって楽しんだり、この商品を盛り上げていったりというように、巻き込んでいくことを目指しています。
――そのせいかコレジャナイロボや土下座ストラップ、他のザリガニワークスの商品はコミュニケーションを生んだり、人を明るくしたりするものが多いですね
坂本 コミュニケーションを生むことは、とても大事にしていますね。クチコミの仕掛けとは関係なく、楽しさの肝だと意識しています。
武笠 僕らの考えるおもちゃとは、そういうものだと思っています。
布目 ザリガニワークスさんの仕事は、広告の観点で見ると、非常に勉強になることが多いです。お金をかけずに自立で動くコンテンツや、キャンペーンを作る上で参考になります。バズとはこうあって欲しいと思うので、大学で学生に授業をしてもらっているわけです。
――最後に今後やりたいことを教えてください坂本:コレジャナイロボをアニメ化したいですね。コレジャナイロボのコンセプトって広いんですけど、分かりやすい部分では、モノ発信で生まれてきたロボ達がテレビのコンテンツを持っているロボ達にどんどん敗れていった歴史なんです。
もともと、喜んでもらうために生まれてきた存在なのに、子どもたちにとっては「テレビに出ているあのロボじゃない……」と言われてしまった。僕らはそんな彼らの切なさを、笑いにしてしまったと気付いたんです。だから俺たちでもやれるんだ! という姿を彼らに見せてあげることが、笑い者にしてしまった者が背負う十字架だと、ちょっとオーバーだけど思っているんですよね(笑)。
武笠 最初はけっこうふざけてモノを作るんですけど、後から真摯になっちゃうんですよね。グッドデザイン賞をとったときも、最初は「落ちても面白いし」くらいに思っていたんですけど、一次を通過したら急に「デザインとは何なのか問いたい」という気になっちゃって(笑)。
最近は、ごはんかいじゅうパップのキャラクターデザインや歌詞も書いていますが、もう、何でもやりたいですね。何でもやるためにザリガニワークスを作ったわけですし。
ねこポッポ店長
佐藤翔(さとうしょう)
猫の絵のTシャツを作ってます。
iPhoneアプリの開発を頑張って勉強しているのですが一向に上達しません。最近、運命の相手として、必ず僕の顔写真が表示される占いアプリを申請しましたが、リジェクトされてしまいました(現在は承認受け済み)。cocos2dを勉強中。
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