「本当は断りたいのに、断れない」という状況に陥ると、「仕事を引き受けるべきか、それとも、断るべきか」のように、「1」か「0(ゼロ)」の選択になってしまいがちです。そのため、「何に恐れているのか」に気付けず、本当は断りたいのに、同じパターンを繰り返してしまいます。
もし、自分の中にある「仕事を断れないパターン」に気付ければ、次回、似たようなパターンに陥ったときに、「これはいつものパターンだな」と、冷静に捉えられる可能性が生まれます。
そこで、あなたの中にある「仕事を断れないパターン」を探ってみましょう。次のステップで考えてみてください。
これまでの「仕事を断れなかった体験」を幾つか挙げましょう。「上司からの高い目標設定を断れなかった」「顧客からの無理な仕様変更につい応じてしまった」「行きたくない飲み会に行ってしまった」など、何でも構いません。
それぞれの「仕事を断れなかった体験」に対して、次の二つを考えます。
前出の「仕事を断れない7つの『恐れ』」のような答えが見つかるでしょう。もちろん、その他の恐れでも構いません。
繰り返しになりますが、仕事を断れないのは、何かしらの「恐れ」があるからです。しかし、「恐れ」は必ずしもそうなるとは限らず、「そうなってしまうはず」という思い込みが、断れなくさせてしまいます。
仕事を断る「恐れ」が分かったら、「もし、仕事を断ったらどうなるか」を想像してみます。次のように考えてみると良いでしょう。
「断っても、あまり影響はなさそうだな」ということに気付けば、仕事を断る恐れも和らぐでしょう。
恐れが和らいだら、仕事を断ってみましょう。大切なのは、今までの「断れないパターン」を崩すこと。必要なのは「うまい伝え方」よりも、「ちょっとした勇気と覚悟」です。
とはいえ、常に「嫌だからやりません」では、それこそ周りから、「単なるわがままな人」「仕事を途中で投げ出す人」というレッテルを貼られかねません。
仕事を断るにも「断る流儀」があります。
仕事を断るなら、取り掛かる前に断りましょう。なぜなら、仕事を依頼する側にとって最も困るのは、「途中で投げ出されてしまうこと」だからです。途中で投げ出されると、計画の変更や、代わりの人の手配など、急な対応が必要になり大変なのです。
飲み会も同様です。幹事が最も困るのは、「来るのか来ないのか分からないこと」「突然キャンセルされること」です。早く言ってくれた方が、段取りがつけやすいのです。
仕事を断るなら、その理由を明確にしましょう。「一身上の都合で」「思うところがあり」では伝わりません。「他の予定が○○まで入っている」など、具体的な理由があれば、受け入れてくれやすくなるでしょう。
最初に断るのが原則ですが、どうしても途中で断らなければならない場合もあるでしょう。その場合は、区切りのいいところまできっちりとやり切りましょう。
断った以上、他の仕事は精いっぱいやりましょう。それが、信頼関係を保ちつつ、仕事を断る最大のコツです。
仕事量や心の余裕がなくなってくると、仕事に追われ、いつも何かに急かされている感じがします。すると、「言いなり感」や「やらされ感」を抱くものです。
楽しく、充実した気持ちで働くためには、仕事量や心の状態などをうまくコントロールしながら、自分のペースで働くことが大切です。そのためには、自分の意思で選択することです。そうすれば、あなたらしく働けるようになるでしょう。
大切なのは、「なるほどね」で終わらせないことです。静かな場所に行って、コーヒーでも飲みながら、紙とペンを取り出して考えてみてください。
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
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