保護ドキュメントの使用状況をリアルタイムで追跡する――Azure RMS Document Tracking:Microsoft Azure最新機能フォローアップ(7)(2/2 ページ)
マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」では、日々、新たな機能やサービスが提供されています。今回は、企業の情報漏えい対策に有効なソリューションとなる「Azure RMS」の新機能を紹介します。
Document Trackingでドキュメント使用をリアルタイム追跡
2015年10月、Azure RMSの「Document Tracking(使用の追跡)」機能がGA(Generally Available:一般向け提供開始)となりました。
この機能は、Azure RMSで保護したドキュメント、または保護して共有(メール送信)したドキュメントの使用状況を、そのドキュメント作成者が専用ポータルでリアルタイムに追跡できる機能です。
専用ポータルでは、自分が共有した保護ドキュメントの一覧、ドキュメントの参照または拒否の状況、アクセス元の場所や時間をリアルタイムに参照できます(画面5、画面6)。
また、特定のドキュメントが参照されたとき、あるいは参照が拒否されたときには、電子メールで通知するように構成することも可能です。さらに、不正な参照要求が続く場合は2クリックで素早くアクセス許可を取り消して(Revoke Access)、ドキュメントへのアクセスを無効化することもできます(画面7)。
Azure ADを中心としたIDとアクセス管理の利点
Azure RMSにおける組織内のIDは、Azure ADによって確認されます。これは、Office 365サブスクリプションのAzure RMSを利用する場合も同様です。Office 365はID管理にAzure ADを利用しているからです。
Azure ADは「Azure AD Connect」を使用して、オンプレミスのActive Directoryドメインとディレクトリを同期することができます。つまり、オンプレミスにAD RMSを展開する代わりに、オンプレミスとディレクトリ同期されたAzure ADを使用してAzure RMSを展開することが可能です。Azure ADを利用することで、オンプレミスにAD RMSを展開するよりも、RMSの保護を社外に拡張することが容易になります。
企業や組織のID管理の中心にAzure ADを置くことは、Azure RMS以外にもさまざまなメリットがあります。例えば、多要素認証(Multi-Factor Authentication:MFA)でID認証を強化したり、デバイスの状態やアクセス元の場所に基づく条件付アクセスで、Office 365やその他のクラウドアプリケーション、Azure Application Proxyを使用したオンプレミスのアプリケーションへのアクセスを制御したりできます。
さらに、Azure AD Premiumを購入すると、機械学習に基づいた高度なセキュリティリポートを利用できます。例えば、異常なサインインのアクティビティやブルートフォース(総当たり)攻撃を検出でき、セキュリティの問題に素早く対処できます(画面8)。
なお、Azure AD Premiumのセキュリティリポートの機能をオンプレミスに導入できる「Microsoft Advanced Threat Analytics(ATA)」という製品もあります。ATAは、Enterprise Mobility Suiteにも含まれます。
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筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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