クラウドでもWindowsドメイン認証とグループポリシー管理が可能になる――Azure ADドメインサービス:Microsoft Azure最新機能フォローアップ(8)(3/3 ページ)
マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」では、日々、新たな機能やサービスが提供されています。今回は、2015年10月にプレビュー提供が開始されたAzure Active Directory(Azure AD)の新機能「ドメインサービス」を紹介します。
Azure ADドメインサービスの正体とコスト効率
Azure ADドメインサービスを展開したAzure仮想ネットワークに、Windows ServerのAzure仮想マシンを展開すると、Azure ADドメインサービスのドメインコントローラーをDNSサーバーとして参照するようにネットワークが自動構成されます。後は、通常のActive Directoryドメインと同じようにドメイン参加設定を行い、再起動すれば、ドメインメンバーとして構成されます(画面7)。
Azure ADドメインサービスのドメインを管理するには、メンバーサーバーとして構成したWindows ServerのAzure仮想マシンに、Active Directoryドメインサービス(AD DS)の管理ツールと「グループポリシー管理コンソール」を追加して、ドメイン管理者のIDでサインインしてこれらの管理ツールを使用します。
Active Directoryの管理ツールで確認すると、2台のドメインコントローラーがAzure仮想ネットワーク上に存在し、冗長構成でドメイン環境が提供されていることが分かります。フォレストおよびドメインの機能レベルは「Windows Server 2012 R2」で構成されていました(画面8)。このことから、2台のドメインコントローラーはWindows Server 2012 R2を実行していると想像できます。
以上のように、Azure ADドメインサービスを利用すると、Azure ADのディレクトリとディレクトリ同期されたActive Directoryドメインを簡単に準備することができます。既定で冗長構成になる上、Windows Server OSの更新もサービスが自動管理してくれるので不要です。
Azure ADドメインサービスは、Azure仮想マシンでドメインコントローラーを展開するよりも、価格的なメリットがありそうです。
Azure ADドメインサービスの価格は、5001〜2万5000ディレクトリオブジェクト、6250ユーザーまでのサイズで、20.40円/時間(プレビュー期間中は50%オフの10.20円/時間)、月額(31日計算)で約1万5177円です。Windows ServerのAzure仮想マシンでこの料金内で実現しようとすると、StandardレベルのA1インスタンス(1コア、1.75GBメモリ、70GBディスク、東日本リージョンで10.82円/時間)が2台相当(月額で約1万6100円)ですから、ディレクトリ同期や運用管理の手間を考慮するとコスト効率が良いといえるのではないでしょうか。
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筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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