iPhone Skypeとケータイ、通話に向いてるのはどっちだ:ものになるモノ、ならないモノ(33)(2/2 ページ)
iPhone Skypeの通話の遅延はどのくらい?ケータイと、PSP版、WILLCOM 03版、日本通信のモバイルのIP電話で比較実験してみた
記事見出し:iPhone用のSkypeの音声を実測する│iPhoneSkypeの方がケータイに比べて140ミリ秒早かった!│音質はSkypeが心地よい│auの音質は「ラジオスターの悲劇」│PSP版、PHS経由、PHS端末テザリングを一挙に試した│登場が待ち遠しい日本通信のモバイルIP電話
PSP版、PHS経由、PHS端末テザリングを一挙に試した
ならばついでにと、ほかのSkypeも試してみた。まずは、PSP版Skype(編集者)とiPhoneSkype(筆者)で通話した。これがなかなか良いのです。iPhoneSkype同士より気持ちよく話せた。PSPのCPUの処理能力が高いからだろうか。エンコードとデコードがスムースに行われている感が相手の音声の端々ににおっている。音質も、iPhoneSkype同士より良く感じた。
そして、お次は、WILLCOM 03(WS020SH)にWindows Mobile版SkypeをインストールしてPHSネットワーク経由で試した。ただ、こちらは、通話品質の検証以前の問題だった。というのは、電話の通話用スピーカーから相手の声が出ないのだ。端末の背面にあるスピーカーから音が出るので、相手の声を聞くときは、端末を裏返す必要がある。マイクは正面にあるから、こちらが話すときはまたひっくり返さなければならない。せんべいを焼いているんじゃあるまいし、電話しながら端末をペタペタひっくり返すなんてあり得ない。端末内1人タイムラグ状態だ。街角でWILLCOM 03をせんべいのようにひっくり返す人を見掛けたらそれは、Skypeしてます。
実は、上記の問題を回避するために「aChgSndCfg」というソフトをインストールすれば、スピーカーの出力先を切り替えることができるのだが、問題は、「そこまでしてWILLCOM 03でSkypeを使うのか」という部分。まあ、ウィルコムとしても、Skype使われるのはあまりいい気持ちはしないだろうから、「WILLCOM 03が大好きでそのポテンシャルを徹底的に引き出すぞ」みたいな人向け、という結論にしておこう。
次に試したのは、WILLCOM 03を使ったテサリングによるSkype。WILLCOM 03に「WiFiSnap」という無線LANルータ化ソフトをインストールしておき、そこに無線LANで接続したiPhoneでSkypeを使う。無線LAN接続とはいえ、そのバックボーンがPHSの64Kbps接続となるだけに心配だったのだが、まあまあ使える。たまに音声が途切れてしまい多少の息苦しさは感じるものの、イライラ度でいうと昔のケータイの方がはるかにきつかった。
ただ、これもマニアック度高し。ウィルコムのWindows Mobile端末とiPhoneを持っていて、かつ2400円の「WiFiSnap」を購入して、となると……。まあ、よほど好きな人でないと、この良さは理解できないなあ。ただ、最近はテサリングが流行っているみたいなので「ウィルコムユーザーで、iPhoneでテサリングしたい」という人はどうぞ、止めはしません。あっ、そうそう、iPhoneSkypeは、ヘッドセットがあれば、iPod touch(第2世代のみ)でも使えるので、ウィルコムユーザーで音楽観賞用にiPod touchを使っている人にはいいかもしれない。
登場が待ち遠しい日本通信のモバイルIP電話
こうなったら、Skypeだけでなく、モバイル系のIP電話も試してしまえ! というわけで、日本通信にお願いして、登場しそうで登場しない、モバイルIP電話の試作端末を借りて試してみた。ここで注意すべきは、日本通信のモバイルのIP電話は「050」の電話番号が割当てられる「IP電話」であって、Skypeのような「インターネット電話」とは違う、という部分。「インターネット電話」であるSkypeには「050」が付かない。
ちなみに、日本通信のモバイルIP電話は、昨年の秋にサービスが開始されると公表されていたのだが、いまだに始まっていない。同社は、昨年6月にNTTドコモと、10Mbpsの帯域を月額1500万円という相互接続の契約を締結しているし、この3月にはレイヤ2の接続も完了している。まさに「機は熟した」はずだが、よく考えたら携帯電話事業者と接続するだけではモバイルIP電話のサービスは提供できない。
日本通信のようなMVNOが音声通話サービスを実現するには、上流(というのだろうか)もどこか固定系の電話会社と接続しなければ、050のモバイルIP電話を提供することはままならない。モバイルとはいえ音声通話サービスである以上、固定のIP電話と同等の接続性を確保しないとサービスとしての魅力がない。
これについて、日本通信取締役の田島淳氏は、「実用的なサービスを実現するには、世界的ネットワークを持っている大手の通信事業者と接続する必要があるが、接続料金の精算方式で折り合いがついていない」と明かす。どういうことかというと、通信事業者側は、3分ごと課金の階段状の精算を要求しているそうだ。そうなると、ユーザーが10秒で電話を切っても、2分59秒で切っても、日本通信側から通信事業者に支払われる接続料金は同じ。これだと、通常の携帯電話に対し価格競争力が持てないというのだ。日本通信では、「精算単位をできるだけ細かくするよう交渉を続けている」そうで「秋ごろまでにはサービスを提供できるかもしれない」(田島氏)という。
通信事業者との交渉は頑張っていただくとして、気になるのは、050の付いたモバイルIP電話の使い心地。「NTTドコモのFOMAを経由したモバイルIP電話」という未知の領域だけに、ちょっとドキドキする。しかし、結果は拍子抜け。FOMAやCDMAで通話しているのと、なんら変わりない。試しに、クルマの助手席に乗り、50〜60キロ程度で移動しながら通話したが、全然フツー。もっとドラマを期待していたのだが……。
まあ、考えてみれば、まじめなドコモが構築した3Gインフラを使っているわけだから、パケットさえちゃんと流れていれば、モバイルIP電話だからといって何か違うところがあるかといえば、何もない。むしろ、ソフトバンクモバイルのiPhoneでの通常の通話の方がブチブチ切れる確率が高いくらいだ。というわけで、050が符番されたモバイルIP電話の登場を期待してしまう。ただし、携帯電話と比較して安くないと意味ないけど……
さて、最後に、iPhone Skypeの致命的な弱点をソッと教えちゃいます。今回の記事を書くために編集者とiPhoneSkype同士でいく度となく通話したのだが、毎回、携帯電話側で編集者に事前に電話をかけて「Skype立ち上げてね」といっている自分がいた。iPhoneというのは、マルチタスクじゃないので、複数アプリを同時に走らせておくことができない(iPod、メール、Safariは別)。だから、僕を含め多くのiPhoneSkypeユーザーは、普段はSkypeアプリを起動していないと思うのだ。アプリが起動してなきゃ電話は受けられない。なんだか本末転倒なマヌケ感だけが残った実証実験でした。
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著者紹介
山崎潤一郎
音楽制作業に従事する傍ら、IT系のライターもこなす蟹座のO型。自身が主宰する音楽レーベルのサイト「インサイドアウト」もよろしくお願いします。最新刊『ケータイ料金は半額になる!』も好評発売中。著者ブログ「家を建てよう」
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