Azure MarketplaceでRed Hat Enterprise Linux(RHEL)のイメージの提供が開始されました。また、RHELの有料サブスクリプションを購入せず、Azure仮想マシンの従量課金でRHELのソフトウェアの更新とサポートを得ることができるようになりました。
Microsoft AzureのAzure仮想マシンでは、広範囲のLinuxディストリビューションおよびバージョンがサポートされています。Azure仮想マシンでの動作保証済みのLinuxディストリビューションおよびバージョンに対しては「Azure Linuxエージェント」が提供され、Azure仮想マシン上で最適化して実行できると同時に、診断機能などのAzure仮想マシンの拡張機能が利用できます。
これまで、企業向け有料サブスクリプション製品のLinuxディストリビューションとしては、「SUSE Linux Enterprise Server(SLES)」だけがAzure上で利用可能でした。SLES Basicイメージは、Linux仮想マシンのコンピューティング料金内でSLESのソフトウェア更新を利用可能です。また、SLES Premiumイメージは、Linux仮想マシンのコンピューティング料金とSLESの時間単位のサポート料金で利用でき、ソフトウェア更新に加えて、電話および電子メールサポートを受けることができます。
2015年11月には、AzureはRed Hat認定クラウド&サービスプロバイダーとなり、Azure仮想マシンにおいて、企業向け有料サブスクリプション製品である「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」のサポートが追加されました。
ただし、この時点ではAzureからは仮想マシンイメージや従量課金モデルの提供はなく、顧客が所有する有料サブスクリプションの「Red Hat Cloud Access」の権利を行使して、RHELの仮想マシンイメージと共にRHELのサブスクリプションをAzure仮想マシンに移行できるというものでした。現在、Azure仮想マシンでは、RHEL 6.7以降およびRHEL 7.1以降がサポートされています。
2016年2月18日からは、「Azureの新しいポータル」(https://portal.azure.com/)の「Azure Marketplace」で、RHEL 7.2およびRHEL 6.7のイメージが利用可能になりました(画面1)。
これらのイメージを利用して展開したAzure仮想マシンは、Linux仮想マシンのコンピューティング料金に加えて、時間単位の従量課金モデルでRHELのサポート料を支払うことで、ソフトウェア更新およびマイクロソフトとレッドハットからのサポートを受けることが可能になります。
Azure MarketplaceのRHEL 7.2およびRHEL 6.7イメージを利用すると、数分でRHELの仮想マシンをAzure上にデプロイでき、パスワードまたは証明書認証のSecure Shell(SSH)でリモート接続することができます(画面2)。
RHELイメージからデプロイされるAzure仮想マシンは、無料試用版で提供されるクレジットの対象外です。
また、RHEL 7.2およびRHEL 6.7イメージにはAzure Linuxエージェントが最初から組み込まれており、起動の診断など、基本的な診断機能をすぐに利用できます。さらに、Red Hatカスタマーポータルに登録する作業なしで、「ソフトウェア更新(yum update)」機能を利用して修正プログラムのダウンロードとインストールを実行できます(画面3)。
なお、「Azureクラシックポータル(https://manage.windowsazure.com/)」の仮想マシンギャラリーからはRHEL 7.2およびRHEL 6.7イメージを利用できませんが、新しいポータルでクラシックデプロイモデルを選択して、Azureのクラシック環境に仮想マシンをデプロイすることは可能です。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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