補助簿で確認。いちごクレープ何枚売れた?:お茶でも飲みながら会計入門(83)
意外と知られていない会計の知識。元ITエンジニアの吉田延史氏が、会計用語や事象をシンプルに解説します。お仕事の合間や、ティータイムなど、すき間時間を利用して会計を気軽に学んでいただければと思います。
本連載の趣旨について、詳しくは「ITエンジニアになぜ会計は必要なのか」をご覧ください。
第22回「会計界の洗練されたプログラミング言語――複式簿記」では、複式簿記の基本的な仕組みについて解説しました。
ここで登場した仕訳の結果である「仕訳帳」 、第34回「すべての道は会計システムに通ず――会計システム入門」で紹介した「総勘定元帳」の2つを、主要簿と呼びます。
実務では、主要簿を補助する補助簿が存在します。今回はこの補助簿について解説します。
【1】補助簿の種類には、どんなものがある?
補助簿には、以下の種類があります。
- 現金出納帳
- 商品有高帳
- 売掛金元帳
- 買掛金元帳
- 売上帳
- 仕入帳
売掛金元帳と買掛金元帳については、第34回「すべての道は会計システムに通ず――会計システム入門」で解説しているので、そちらを参照してください。残り4種類の内容を以下にまとめます。
現金出納帳:現金の入金および出金について記録するもの。
商品有高帳:商品の受け入れおよび払い出しについて記録するもの。
売上帳:売り上げについて記録するもの。
仕入帳:仕入れについて記録するもの。
これら補助簿について、例を挙げて見ていきましょう。
【2】学園祭で補助簿を作る
今回は、大学の学園祭でクレープを売る模擬店の会計を考えます。学園祭は5月18日と19日の2日にわたって東京都文京区で行われます。売り出すのはいちごクレープとバナナクレープで、それぞれ1枚500円で売ります。以下で模擬店活動の詳細を見ていきましょう。
5月17日(金) 学園祭前日
最初に、模擬店用の財布を用意し、そこに2万円入れた。
<買い出し班の買い物>
(いちごクレープ100枚分と、バナナクレープ100枚分の材料を購入)
小麦粉:400円
卵:400円
生クリーム:800円
いちご:2000円(200個×10円)
(※クレープ1枚につき2個必要で、1個10円とします)
バナナ:1000円
合計:4600円
5月18日(土) 学園祭初日
<店舗の売り上げ(1日分)>
いちごクレープ:80枚
バナナクレープ:55枚
合計売り上げ:6万7500円
<買い出し班の買い物>
(いちごがなくなりそうなので、追加でクレープ50枚分のいちごを購入)
いちご:1000円(100個×10円)
5月19日(日) 学園祭2日目
<店舗の売り上げ(1日分)>
いちごクレープ:50枚
バナナクレープ:45枚(売り切れ)
合計売り上げ:4万7500円
これらの出来事を、現金出納帳、商品有高帳、売上帳、仕入帳の4種類の補助簿に記録していきましょう。それぞれ以下のようになります(商品有高帳は、いちごを例にして記録しています)。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
今回は補助簿について見てきました。
最近は会計ソフトにもクラウドサービスのものが登場して、月額500円〜1000円くらいで利用できます。簿記の演習用として、実際の会計ソフトでは各帳簿がどのようにリンクしているのかを見るのもいいかもしれませんね。それではまた。
お知らせ
お茶会計、書籍化!
ITエンジニアのための会計知識41のきほん
吉田延史(仰星監査法人/公認会計士) 著
インプレスジャパン
2012/02/17
ISBN-10: 4844331485
ISBN-13: 978-4844331483
1575円(税込)
@IT自分戦略研究所の人気連載「お茶でも飲みながら会計入門」が書籍になりました! トピックごとにまとめてあるので、ちょっとした時の知識確認やまとめ読みにおすすめです。
筆者紹介
吉田延史(よしだのぶふみ)
京都生まれ。京都大学理学部卒業後、コンピュータの世界に興味を持ち、オービックにネットワークエンジニアとして入社。その後、公認会計士を志し同社を退社。2007年、会計士試験合格。仰星監査法人に入所し現在に至る。共著に「会社経理実務辞典」(日本実業出版社)がある。
イラスト:Ayumi
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