意外と知られていない会計の知識。元ITエンジニアの吉田延史氏が、会計用語や事象をシンプルに解説します。お仕事の合間や、ティータイムなど、すき間時間を利用して会計を気軽に学んでいただければと思います。
本連載の趣旨について、詳しくは「ITエンジニアになぜ会計は必要なのか」をご覧ください。
前回のサラリ−マン編に続き、今回はフリ−ランスの社会保険料について解説します。今回も、健康保険と年金にスポットを当てて見ていきます。
果たしてサラリ−マンと比べて、多いのか少ないのか……!?
※以下、平成23年度分のデ−タを使用しています。
まずおさらいです。サラリーマンは、健康保険と厚生年金保険に加入します。
個人事業主や無職の人の場合、下記のものに加入します。
国民健康保険は、各地方自治体が運営しています。保険料の算定方法は各自治体が決めます。
金額には、地方ごとに意外と差があります。3つの都市の算定方法を下表にまとめました(分かりやすくするため、40才以上の方が対象となる介護分は除きます)。
保険料は複数の計算方法を組み合わせて算定したものの合計額です。それぞれの計算方法の概要は以下のとおりです。
●東京都世田谷区の場合
●埼玉県さいたま市の場合
●大阪府大阪市の場合
次に、年金です。個人事業主や無職の人は、国民年金制度に加入します(20才以上のすべての人が強制加入)。
こちらは、地方によって差は発生しません。毎月1人当たり1万5020円です。
ちなみに、サラリ−マンが加入している厚生年金保険は、国民年金が対象とする基礎年金部分を含んでいるため、サラリ−マンの方が保険料は高いのですが、その分、将来もらえる年金は多くなります。さらにサラリ−マンの配偶者は国民年金を負担する必要がありません。
計算方法が分かったところで、フリ−エンジニアDさんの国民健康保険料と国民年金保険料を、各地方ごとに算出してみましょう。
●Dさんのスペック
●国民年金保険料を計算する
東京都世田谷区 | 埼玉県さいたま市 | 大阪府大阪市 | |
---|---|---|---|
所得割 | 45万8703円 | 53万2413円 | 59万5350円 |
均等割 | 7万9800円 | 7万3200円 | 5万1744円 |
平等割 | − | − | 4万4596円 |
月額 | 4万4875円 | 5万467円 | 5万1744円 |
●国民年金保険料は一律
●参考:サラリーマンエンジニアの月額
サラリ−マンが払う社会保険料と比べてみると、どうでしょうか? 計算方法が違っているため、簡単に比較することはできませんが、ここでは2点の特徴を挙げておきます。
フリ−ランスの社会保険料について見てきました。場所による国民健康保険料の違いが結構大きいため、驚くかもしれません。同じ都道府県でも、市や区が違うだけで算定方法が違いますので、住んでいる地区の保険料を調べてみるといいでしょう。それではまた。
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吉田延史(よしだのぶふみ)
京都生まれ。京都大学理学部卒業後、コンピュータの世界に興味を持ち、オービックにネットワークエンジニアとして入社。その後、公認会計士を志し同社を退社。2007年、会計士試験合格。仰星監査法人に入所し現在に至る。共著に「会社経理実務辞典」(日本実業出版社)がある。
イラスト:Ayumi
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