これで合格!? ITエンジニアのための簿記3級まとめお茶でも飲みながら会計入門(84)

意外と知られていない会計の知識。元ITエンジニアの吉田延史氏が、会計用語や事象をシンプルに解説します。お仕事の合間や、ティータイムなど、すき間時間を利用して会計を気軽に学んでいただければと思います。

» 2013年06月11日 00時00分 公開
[吉田延史, イラスト:Ayumi仰星監査法人]

本連載の趣旨について、詳しくは「ITエンジニアになぜ会計は必要なのか」をご覧ください。


 ITエンジニアの皆さんの中には、簿記の勉強をしている方も多いのではないでしょうか。今回はそんな皆さんに向けて、過去の連載記事の中から、簿記3級の取得に必要なものをまとめてお送りします。

イラスト

【1】まずは簿記の基本から

 簿記を勉強するに当たって最も大切なことは、

  • 仕訳を理解すること
  • 仕訳をどのように各帳簿に記録するかを理解すること

です。それらについては、以下で解説しています。

「仕訳、勘定科目、残高試算表」編

 第22回 会計界の洗練されたプログラミング言語――複式簿記

「主要簿への記録」編

 第34回 すべての道は会計システムに通ず――会計システム入門

「補助簿への記録」編

 第83回 補助簿で確認。いちごクレープ何枚売れた?

 また、もう1つ大切なポイントが貸借対照表と損益計算書です。

 企業は決算を迎えると、年度末の財政状態と1年間の経営成績を明らかにするため、記録した帳簿に基づいて貸借対照表と損益計算書を作成します。それらの読み方については、以下を参照してください。

「貸借対照表の読み方」編

 第20回 JALの危険性が分かる貸借対照表の読み方

「損益計算書の読み方」編

 第15回 損益計算書に登場する5つの利益

【2】次に各取引の仕訳方法を学ぶ

 簿記の基本的な仕組みを理解したら、個別の取引の学習に移ります。順番に見ていきましょう。

「小切手、手形」編
(関係する勘定科目:現金、当座預金、受取手形、支払手形)

 第79回 現金持ってるのと同じ「小切手」、将来の約束「手形」

「売掛金、貸倒引当金」編
(関係する勘定科目:売掛金、貸倒引当金)

 第40回 武富士の経営破たんから、貸倒引当金を理解する

「商品売買」編
(関係する勘定科目:売上、仕入、繰越商品)

 第80回 残った傘は何本ある? 分記法と三分法
 →三分法について

 第58回 残ったレッドブルはいくら? 「商品の繰越処理」基礎
 →商品の繰越処理について

 第21回 出光の営業利益が80億円増加した理由
 →商品の評価方法について

「固定資産」編
(関係する勘定科目:建物、土地、車両運搬具、備品、減価償却累計額、固定資産売却損益)

 第76回 大阪城に非常階段を設置したら? 「固定資産」を考える
 →固定資産の取得と資本的支出について

 第78回 120万の車、3年乗って10万で売却。これって損? 得?
 →固定資産の売却について

 第37回 ゲームと現実の違いは? 「桃鉄」で減価償却を考える
 →固定資産の減価償却について

「有価証券」編
(関係する勘定科目:有価証券、受取配当金、有価証券売却損益)

 第56回 東京電力が保有するKDDI株から、「有価証券」を学ぶ

「経過勘定」編
(関係する勘定科目:前払費用、前受収益、未払費用、未収収益)

 第75回 心の余裕・あせりを数値化する「経過勘定」

「給与」編
(関係する勘定科目:給料)

 第23回 知っておいて損はない! 給与明細の見方

「純資産」編
(関係する勘定科目:資本金、利益剰余金)

 第70回 「純資産」=会社の価値を上げる、プランAとプランB


 今回の内容を、トランプのポーカーのルールの説明に例えるなら、

【1】まずは簿記の基本から

は、「5枚のカードで上位の役を目指す」というポーカーの基本を学ぶ。

【2】次に各取引の仕訳方法を学ぶ

は、それぞれの役がどのようなものなのかを理解する。

ということになると思います。昔、遠足のバスなどでポーカーをすることになって、ポーカーが初めての人に説明したような経験はありませんか。まずは基本的なルールについて一通り話をしますが、後は「取りあえずやってみよう」ということになったと思います。

 簿記の勉強についても同じことがいえると思います。【1】を一通り見たら、早速【2】を見て、とにかく仕訳することを勧めます。さらに試算表を作成し、貸借対照表・損益計算書を完成させるのがよいでしょう。そうしているうちに、簿記の世界のルール理解が進んでいきます。

 簿記3級特集はいかがでしたでしょうか。勉強が進んでいる方は、自分の理解が十分でないところだけをピックアップして読むのもお勧めです。それではまた。

お知らせ

お茶会計、書籍化!

ITエンジニアのための会計知識41のきほん

ITエンジニアのための会計知識41のきほん

吉田延史(仰星監査法人/公認会計士) 著
インプレスジャパン
2012/02/17
ISBN-10: 4844331485
ISBN-13: 978-4844331483
1575円(税込)


@IT自分戦略研究所の人気連載「お茶でも飲みながら会計入門」が書籍になりました! トピックごとにまとめてあるので、ちょっとした時の知識確認やまとめ読みにおすすめです。


筆者プロフィール

吉田延史(よしだのぶふみ)

吉田延史(よしだのぶふみ)

京都生まれ。京都大学理学部卒業後、コンピュータの世界に興味を持ち、オービックにネットワークエンジニアとして入社。その後、公認会計士を志し同社を退社。2007年、会計士試験合格。仰星監査法人に入所し現在に至る。共著に「会社経理実務辞典」(日本実業出版社)がある。



イラスト:Ayumi


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