【やってみた】クラウド会計ソフトを使って確定申告の計算をしてみた:お茶でも飲みながら会計入門(98)
元ITエンジニアで現会計士の吉田延史さんが会計用語や事象を解説する本連載。今回は話題のクラウド会計ソフト「freee」の体験リポートです。
編集部より読者の皆さんへ。
会計用語や会計の流れをイラストと文章で分かりやすく解説する本シリーズ、前回は売り上げについて、前々回は円安が決算に与える影響についての解説でした。
今回は確定申告の時期ということもあり、フリーのエンジニアや副業をされているエンジニアにも役立つのではないかと思い、「会計ソフトの使用リポート」を編集部より筆者の吉田さんにリクエストしました。
吉田さんが取り上げたのはクラウド会計ソフトの「freee(フリー)」。もともと興味を持っていたソフトとのことで、実際に使ってみた感想などをまとめてくれました。確定申告の作業にお困りの読者の一助になれば幸いです。
【1】銀行やクレジットカード利用明細を取り込む
今年も確定申告のシーズンがやってきました。私も本連載の執筆料や書籍の印税を確定申告しています。今回はクラウド会計ソフトを使って確定申告の計算をしてみました。使ってみたのは、話題の「freee」です。以下で、順を追って使い方をリポートしていきます。
最初にユーザー情報などの基本情報を登録します。次に「口座の登録をしましょう」と画面に出てきますので、私がメインで使っている銀行の口座とクレジットカード情報を登録します。
すると、口座の取り引きがfreee内に取り込まれます(「同期する」機能)。取り込まれた取り引きから、確定申告の対象となる収入、支出を会計データとして登録していきます(「自動で経理」機能)。確定申告とは関係ない出費は、「登録しない(無視)」を選択します。
登録すると、支出先から「勘定科目(費目)」を自動で類推してくれます。例えば、タクシー会社に対する支払いなら「旅費交通費」、新聞社に対する支払いなら「新聞図書費」といった具合です。正しければそのまま、違っていたり候補がない場合には修正して登録します。
私は、確定申告に関係のある「書籍代」「タクシー代」などを登録しました。
【2】その他の取り引きを手動登録する
しかし銀行やクレジットカードの利用明細だけでは、全ての取り引きは集計できません。例えば現金で買った書籍は、明細には登場しません。
そういった取り引きは手動で追加登録します。登録の際にレシートなどの写真を添付できます。
項目ごとに「支出」か「収入」かを選択して、「取引日」「勘定科目」「金額」を入力して、登録します。私は現金で買った書籍の他、収入も手動登録しました。原稿料収入は銀行口座に入金されるため「自動で経理」を使ってデータを取り込めるのですが、銀行に入金されるのは源泉徴収分を除いた金額なので、支払先から送られてくる「支払調書」を見て手動登録する方が簡単でした。
【3】収支レポートを確認する
上記の登録が終わったら、「収支レポート」で収支を確認できます。確定申告に必要な収入金額と必要経費の集計結果を利用して、確定申告書を作成します。
freeeにも「確定申告書作成機能」がありますが、私は原稿料(雑所得)とその経費のみだったため、利用しませんでした。
【4】まとめ
今回、編集部よりリクエストがあり、何の予備知識もない状態でfreeeを使ってみましたが、操作が直感的で分かりやすい印象を受けました。会計ソフトでは定番の専門用語(「仕訳」や「総勘定元帳」など)を避けて、画面設計も初心者でも分かりやすく作られていると感じました。また、銀行とクレジットカードの利用明細を取引登録に利用できる機能や、スマートフォンで操作できる点も便利でした。
とはいえ、世の中にはいろいろな会計ソフトが市販されていますので、自分の用途に合ったソフトを選ぶのがよいでしょう。本連載でも、また折を見て他の製品も試してみたいと考えています。それではまた。
イラスト:Ayumi
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吉田延史著
イラストAyumi
すばる舎
2014/11/20
1620円(税込)
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