多様化、複雑化したITインフラ管理の特効薬となるか――Microsoft Operations Management SuiteMicrosoft Azure最新機能フォローアップ(11)(3/3 ページ)

» 2016年01月12日 05時00分 公開
[吉田かおるNECマネジメントパートナー株式会社]
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管理シナリオ4:セキュリティとコンプライアンス

 Microsoft OMSでのセキュリティとコンプライアンスの管理は、前述したOperational Insightsのソリューションパックで実現します。「Malware Assessment」ソリューションパックでは、検出したマルウェアの情報を確認したり、PC/サーバがマルウェア対策ソフトウェアで保護されているかどうかを監視したりできます(画面14)。2016年1月時点で、Malware Assessmentは、System Center Endpoint ProtectionとAzure仮想マシンに追加したMicrosoft Antimalwareに対応しています。

画面14 画面14 「Malware Assessment」では、PC/サーバのマルウェア対策ソフトウェアの導入状況や実際に検出したマルウェアの情報などを監視、確認できる。画面はテスト用マルウェア「EICAR」の感染履歴

 「System Update Assessment」ソリョーションパックでは、PC/サーバの更新プログラムの適用状況を監視できます(画面15)。例えば、提供後30日以上が経過しているにもかかわらず、更新プログラムを適用していないPCの一覧などを確認できます。また、「Security and Audit」ソリョーションパックでは、Windowsのセキュリティログを基に、ユーザーのログイン履歴や実行中のプロセス一覧など、セキュリティに影響を与えるアクティビティを監視できます(画面16)。

画面15 画面15 「System Update Assessment」では、各PCの更新プログラムの適用状況を監視できる
画面16 画面16 「Security and Audit」では、ユーザーのログイン履歴や実行中のプロセス、マルウェア対策ソフトウェアの停止など、セキュリティに影響を与えるアクティビティを監視できる

価格は従量課金、System Center導入済みなら安価なライセンスも

 最後に、利用料金について触れておきましょう。Microsoft OMSはMicrosoft Azureのサービスで構成されているため、表2のような従量課金となります。Azure BackupとAzure Site Recoveryは、保護する仮想マシン単位での課金となるので試算は容易でしょう。Azure Automationはジョブの実行時間、Operational Insightsは使用したデータ量による課金となるので、試算が難しくなります。Operational Insightsのコンソールからデータ量を確認できるので、テスト運用を行えば、おおよその料金は試算できるでしょう。

サービス 価格
Operational Insights 1GB当たり、234.60円から
Azure Automation 1分当たり、0.12円から
Azure Backup 仮想マシン1台当たり、1カ月510円から
Azure Site Recovery 仮想マシン1台当たり、1カ月1632円から
表2 Microsoft OMSの従量課金

 また、System Centerを所有している場合は、特別なライセンスである「Microsoft OMSアドオン」を利用できます。表3のように、所有しているSystem Centerのエディション(StandardまたはDatacenter)で、利用可能なMicrosoft OMSアドオンは異なります。

サービス Standard Datacenter
Operational Insights 100GB 500GB
Azure Automation 約167時間分 約833時間分
Azure Backup 仮想マシン2台 仮想マシン10台
Azure Site Recovery 仮想マシン2台 仮想マシン10台
価格(年間)※ 7万8153円 39万765円
プロモーション価格(年間)※ 4万5372円 22万6920円
単体購入(年間)※ 10万1448円 50万7240円
表3 Microsoft OMSアドオンのライセンス料(※参考価格。また、プロモーション価格は、2016年6月30日までの期間限定)

まずは、Microsoft OMSを試してみよう

 Microsoft OMSは提供が開始されているサービスですので、実際に触れてみることができます。Microsoft Azureのサブスクリプションを所有していればすぐに試用できますし、Microsoft Azureの無償試用版でも全サービスを試すことができます。

 Operational Insightsに興味がある場合は、Operational Insightsのみが利用可能で登録の手続きが簡単なMicrosoft OMSの無償評価版でテストすることもできます。

 テストシナリオが欲しい場合は、マイクロソフトが提供している「Microsoft Azure自習書シリーズ」の「OMSによるハイブリッドクラウドの管理」が参考になるでしょう(画面17)。この自習書は、Microsoft OMSの導入から一連の機能の使い方までをステップバイステップ形式で学習できます。

画面17 画面17 Microsoft OMSの自習書も公開されている
「Microsoft Azure最新機能フォローアップ」バックナンバー

筆者紹介

吉田 かおる(よしだ かおる)

NECマネジメントパートナー株式会社に所属し、マイクロソフト製品トレーニングの技術マネージャーを担当。トレーニングのキャリアは20年以上と長く、古くはOS/2やMS-DOS、現在は仮想化やクラウドなどを担当している。また、Microsoft MVPを2004年から13年連続で受賞している。趣味は、散歩と料理(作る方)。


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