――勉強は、最初はモチベーションが高くてスケジューリングや目標設定などをしっかりやると思うのですが、なかなかそのモチベーションが維持しづらいと思います。お2人は、勉強のモチベーションをどのように維持していましたか。
西本 スケジュールどおり、小さなゴールを達成する喜びの積み重ねですね。
吉田 わたしは、知的好奇心が満たされることでモチベーションが上がるので、あまりモチベーションが下がったことはないです。
――ここは意見が分かれました。では、まず西本さんからどうぞ。
西本 先ほどもいったように、わたしは勉強するとき最初にかなりしっかりしたスケジュールを組むんです。そこで設定した小さなゴールを1つずつ達成していくと「自分は勉強している」という実感、小さな成功体験が得られるじゃないですか。だから、できるだけスケジュールは守るようにしていましたね。終わりそうにないときは、週に何日か睡眠時間を削って勉強時間に充てました。
吉田 わたしの場合は、基本的に知的好奇心が満たされればモチベーションは維持できます。勉強すればするほど、分からないことが分かる。成功体験とかは、あまり意識したことがないかもしれない。
Q 勉強中の必須アイテム(参考書は除く)は何ですか?
――モチベーションが下がりそうだな、と思ったときには何をしますか。
吉田 やりすぎると疲れるので、休憩日を設けていましたね。例えば、祝日は「丸1日勉強しない」と決めていました。
西本 丸1日ですか?
吉田 丸1日です。何も勉強しません。
西本 わたしだったら、1日勉強しないと不安に駆られてしまって、結局勉強してしまう気がします。わたしの場合、休憩は時間単位で取ります。休日に2時間とか午後に1時間とか。
吉田 1日勉強しない不安は、翌日のモチベーションに転換するんですよ。
西本 それはまねできない……。
――学生時代の勉強方法とか、仕事のやり方とかで「自分に適したサイクル」がありますよね。お話を聞いていると、吉田さんは短期集中型で、西本さんは長期計画型だなあと思います。
吉田 それはありますね。「自分操縦法」とでもいいますか、自分なりの必勝サイクルを信じられていたから、このやり方でできていたんだと思います。
西本 自分の勉強方法を確立できているかいないかは、資格合格においてかなり重要なポイントですね。「わたしはこう勉強しています!」とはっきり宣言できないと、難しい資格試験の合格は難しいんじゃないかな。
Q 勉強効率を上げるための自分なりのノウハウは何ですか?
――「宣言」というキーワードが出てきたのでお伺いしたいのですが、お2人は自分が会計の勉強をしていることを、周りに公言していましたか。
吉田 まったくしていないです。合格してから「実は勉強していたんだ」といって、周りを驚かせるのが好きなタイプなので。
西本 あ、わたしはまったく逆です。周囲の人間に宣言しまくっています。宣言することで自分の退路を断つ「背水の陣」メソッドですね。周りにいうとプレッシャーは増大しますが、その分いろいろな人と話のネタが増えて楽しいですよ。上司から応援もしてもらえました。
――お2人は、目指す資格は同じでありながら、きっかけもアプローチ方法も、全然違うところがとても面白いと思います。最後に、今後について聞かせてください。西本さんは、吉田さんのようにエンジニアを辞めようと考えたことはありますか。
西本 将来はどうなるか分からないですけれど、いまのところはないですね。わたしは、「2軸持つエンジニア」を目指しているんです。
吉田 「会計」と「IT」、両方に精通している人材になると。
西本 そうですね。わたしがいま目標としているのは「IT技術に詳しい会計のプロ」か、「会計に詳しいITのプロ」、どちらかです。わたしはいま30歳を越えたところなのですが、これからIT技術1本だけでいくのには不安がありますから。
――吉田さん、最後に会計の勉強をしようと思っているエンジニアに、一言お願いします。
吉田 資格を取る目的はいろいろあると思いますが、すぐに取れる資格だとあまり意味はないと思っています。「自分の市場価値を高める」という意味では、ハイリスクハイリターンの資格を目指す方がいいのではないでしょうか。
――ありがとうございました。
イラスト:Ayumi
文:金武明日香
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