なぜ予想とは異なり、最古のイメージでPCのリフレッシュが実行されたのでしょうか。筆者が想像するのは、これが常時稼働していない仮想マシンだからということです。
Windows 8.1では、Windowsコンポーネントストアの「C:\Windows\WinSxS」フォルダーのサイズを縮小するために、メンテナンスタスクの一部としてタスクスケジューラーに登録された「\Microsoft\Windows\Servicing\StartComponentCleanup」タスクを実行します。このタスクは、古いコンポーネントを少なくとも30日後に削除するようにマークします。
PCのリフレッシュ/リセットの28日とクリーンアップタスクの30日で差があるのが気になるところですが、稼働時間の少ない仮想マシンでは、このクリーンアップタスクを含むメンテナンスタスクが実行されないか、完了することがなかったのではないでしょうか。
前述した「How push-button reset features work」のドキュメントでも説明されていますが、コマンドプロンプトを管理者として実行し、次のコマンドラインを実行することで、現時点で適用済みの全ての更新プログラム(累積的でないものも含む)を、PCのリフレッシュ/リセットで確実に使用されるようになります。このコマンドラインは、自動実行されるクリーンアップタスクとは異なり、古いコンポーネントを即座に削除します(画面7、画面8)。
DISM /Online /Cleanup-Image /StartCompnentCleanup /ResetBase
マイクロソフトの「How push-button reset features work」の内容が更新されました。更新後の内容からは、適用されてから少なくとも「28日以上」が経過した累積的な更新プログラムがPCのリフレッシュに使用されるという仕様は削除されています。そのため、「DISM /Online /Cleanup-Image /StartComponentCleanup /ResetBase」コマンドを実行しない場合に新規インストール時のバージョンに戻るのは正常な動作ということになります。
Windows 10を日常的に使用していれば、累積的な更新プログラムが自動的にインストールされ、メンテナンスタスクによってWindowsコンポーネントストアの自動クリーンアップも適切に行われるでしょう。ですから、「DISM」コマンドを手動で実行する必要はありません。
よく考えると、PCのリフレッシュやリセットで累積的な更新プログラムが提供済みのイメージで回復できることはそれほど重要ではないかもしれません。なぜなら、Windows 10は1年に複数回「機能アップデート」が行われるからです。
つまり、1年に複数回、新しいビルドへとアップグレードが行われます。数カ月前は古いビルドという状況が繰り返し発生するわけですから、回復に使用されるイメージが数カ月古くても大きな違いはないでしょう。つい最近(2015年11月13日)、Windows Updateで初めての機能アップデートである「バージョン1511(ビルド10586)」が提供されましたが、更新後のPCのリフレッシュはバージョン1511以降のイメージを使用することになります。
PCのリフレッシュやリセットで前のビルドに戻ることはありません。機能アップグレードが提供されれば、「設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」や、Windows回復環境に「以前のビルドに戻す」オプションが表示されます。以前のビルドへロールバックするには、こちらを使用します(画面9)。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2015)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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