「メモ帳」や「ペイント」など、Windows標準のアクセサリやコントロールパネル、MMC(Microsoft管理コンソール)の管理ツールは、ローカルまたはオンラインヘルプにアクセスするための「?」アイコンおよび「ヘルプ」メニューを備えています。Windows 10で「?」や「ヘルプ」メニューをクリックしても、「Windows 10でヘルプを表示する方法」というBing検索の結果が表示される場合がほとんどです(画面11)。
この検索結果が何を伝えたいのかというと、“Windows 10でヘルプが必要な場合はスタートボタンの横にある「検索ボックス」の検索機能、またはパーソナルアシスタントである「Cortana」に聞いてみてね”、ということのようです。詳しくは、Windows 10に含まれる「はじめに」アプリでご確認ください(画面12)。
Bing検索の結果の上位には、「はじめに」アプリと同じ情報があると思いますが、そのさらに上に広告やマイクロソフト以外の情報が表示されることがあるので、「で、ヘルプはどこなのよ?」ということになってしまいます。
Windows 10には複数の「更新ブランチ」(Branchは「分岐」の意味)が存在し、新機能や更新プログラムの提供タイミングに違いがあります。Windows 10の既定であり、Windows 10 Homeの唯一の更新ブランチである「Current Branch(CB:適化モデル)」は、おおむね4カ月ごとに新機能を含む新しいビルドが提供されるとされています。
Windows 10 Pro以上のエディションで選択可能な「Current Branch for Business(CBB)」は、アップグレードを延期することができます。Windows Update for Business(バージョン1511からの新しいグループポリシーで制御可能)を利用すれば、新しいビルドへのアップグレードを最大8カ月延期できますし、セキュリティ更新プログラムやセキュリティ以外の更新プログラムについても週単位で最大1カ月延期できます。
2015年7月のWindows 10のリリース、および初めての機能アップデートであるバージョン1511のリリース直後の状況を踏まえると、CBに対して新しいビルドが提供されると、その後、毎週あるいはそれより短い間隔で累積的な更新プログラムが次々にリリースされることが予想されます。
今後、徐々に安定してくると信じたいです。新しいビルドがリリースされるたびに同じ状況が繰り返されるようでは問題です。企業のクライアントとしてWindows 10を採用する場合は、CBBを選択し、Windows Update for Businessで更新をしっかり制御しないと仕事にならないかもしれません。
そして筆者が気掛かりなのは、新しいビルドでは修正されている不具合が、CBBでサポート期間にある古いビルド(最大2つ前)や新機能が提供されない「Long Term Servicing Branch(LTSB)」でも、サポート期間中にきちんと修正されるのかどうかということです。Yu Gothic UIフォントの問題のように、古いビルドやLTSBで放置されている不具合は現に存在します。もし、“その不具合は新しいビルドで修正されます”というケースが多いようなら、頻繁なアップグレードが難しい企業クライアントとしてWindows 10は“厄介なOS”になるかもしれません。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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