まずは、以下のサポート技術情報をご覧ください。このサポート技術情報は、ドメインコントローラーの「PolicyDefinitions」フォルダ(または管理用テンプレートのセントラルストア)に、Windows 10コンピュータからポリシー定義ファイル(.admxおよび.adml)をコピーすると、「グループポリシーエディタ」で「名前空間 Microsoft.Policies.Sensors.WindowsLocationProvider' は、既にストア内の別のファイルのターゲット名前空間として定義されています」というエラーが表示される問題と回避策を説明したものです。
この問題の原因は、Windows 8/8.1に存在していたポリシー定義ファイル「LocationProviderADM.admx」のファイル名が、Windows 10で「Microsoft-Windows-Geolocation-WLPAdm.admx」に変更されたたことにあります。
Windows 10でローカルポリシーを編集する場合には、この問題は発生しません。Active Directoryのグループポリシーにある既存のポリシー定義にWindows 10のポリシー定義ファイルをコピーしたことで、同じポリシー設定を持つ2つの定義ファイルが存在してしまい、「既に定義されています」エラーが発生するというわけです。
同じ問題は、以下の管理用テンプレート「Windows10-ADMX.msi」をコピーした場合にも発生します。
Windows 8.1の「LocationProviderADM.admx」およびWindows 10の「Microsoft-Windows-Geolocation-WLPAdm.admx」は、どちらも以下のポリシー設定を定義しているものです。
[Windows 8.1]
[Windows 10]
両者は同じ設定ですが、このポリシー設定がサポートされるバージョンが以前の「Windows Server 2012、Windows 8、Windows RT、またはそれ以降」から「Windows Server 2012、Windows 8、Windows RT、Windows Server 2012 R2、Windows 8.1、またはWindows RT 8.1のみ」に変更されています。Windows 10には関係しないポリシー設定なのに、なぜファイル名が変更されたのでしょうか。謎です。
上記のサポート技術情報には、この問題のその後について説明されていません。2015年11月にリリースされたWindows 10 バージョン1511では、再び「LocationProviderADM.admx」にファイル名が戻されました。そのため、Windows 10 バージョン1511を新規インストールした環境から、ドメインコントローラーやセントラルストアにポリシー定義ファイルをコピーしても、この問題は発生しません。
しかし、Windows 10をWindows 10 バージョン1511にアップグレードした環境では、今度はWindows 10のローカルポリシーの編集で「既に定義されています」のエラーが発生するようになります(画面8)。せっかくファイル名を戻したのに、古い「Microsoft-Windows-Geolocation-WLPAdm.admx」を削除する処理が抜け落ちているようなのです。筆者の環境だけかもしれませんが、Windows 10 バージョン1511にアップグレードした2台で再現しました。
こちらを直せば、あちらで問題。ちょっとお粗末ですね。しれっと直そうとして、ドメインのグループポリシーだけの問題だったものを、たくさんのPCに影響する問題に広げてしまいましたね。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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