Android、iOS、Mac向けのアプリは、“マルチタッチ、RemoteFX、リモートデスクトップ(RD、旧TS)ゲートウェイ、ネットワークレベル認証(NLA)、RemoteApp、少ない帯域幅でのビデオと音声の高品質な再生”といった機能をうたっていますが、RDP 7.1互換クライアントであることに留意してください。
これらのアプリが対応している“RemoteFX”とは、「RDP 7.1のRemoteFX」のことです。もっと言えば、Windows 7 SP1およびWindows Server 2008 SP1で初めて提供された、VDI向けの「RemoteFX仮想GPU」(RemoteFX 3Dビデオアダプタ)をサポートしているということです。個人ユーザーがこのアプリを使ってWindows 7 SP1やWindows 8、Windows 8.1に接続したとしても、アプリが対応しているというRemoteFXの機能を利用できるわけではありません。
RemoteFX仮想GPUは、Windows Server 2008 R2 SP1以降のリモートデスクトップサービス(RDS)が提供する、VDIの機能の一部です。VDIの仮想デスクトップは、Windows 7 SP1以降のEnterprise(またはUltimate)エディションを実行している必要があります。
また、VDIの仮想デスクトップを実行するホストには、RemoteFXに対応したグラフィックスカード(GPUと専用VRAM)が必要であり、Hyper-Vに加えて、リモートデスクトップ(RD)仮想化ホストの役割が必要です。さらには、RDSの機能の一部であるため、RemoteFX仮想GPUが有効な仮想デスクトップに接続するにはRDS CAL(クライアントアクセスライセンス)が必要になります。
これらの条件を満たす環境を個人ユーザーが準備できるとは思えません(画面4、画面5)。“艦○○”のようなゲームが動くかどうか(動かない理由はありません)、快適に動くかどうかは別として、その動作にRemoteFXが関わることはほぼないはずです。
次回は、このRemoteFXについてもう少し詳しく掘り下げてみましょう。RemoteFXもまた、誤解されやすく、ややこしい状況にあるテクノロジなのです。
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2014)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手がける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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