続いて、レジストリ値「HKEY_LOCAL_MACHINE¥SOFTWARE¥Policies¥Microsoft¥Windows NT¥Terminal Services¥fDisablePNPRedir」が、どのポリシーに対応しているのかを調べてみました。
ポリシーの管理用テンプレート(.admx)は、「C:\Windows\PolicyDefinitions」フォルダーに格納されています。Windows PowerShellで次のコマンドラインを実行すれば、「fDisablePNPRedir」を含む管理用テンプレートを特定できます。また、「fDisablePNPRedir」のポリシーのポリシー名や説明にひも付いたIDを取得できます。
Get-ChildItem C:\Windows\PolicyDefinitions\*.admx |Select-String "fDisablePNPRedir"
「fDisablePNPRedir」が関係するポリシー設定は、「C:\Windows\PolicyDefinitions\TerminalServer.admx」に「TS_CLIENT_PNP」というIDで存在しました。次に、「C:\Windows\PolicyDefinitions\ja-jp\TerminalServer.adml」を「メモ帳」で開いて、「TS_CLIENT_PNP」を検索します。その結果、探しているポリシーの名前は「サポートされているプラグアンドプレイデバイスのリダイレクトを許可しない」であると特定できました(画面5)。
後は、管理用テンプレートが「TerminalServer.admx」であることや、コンピューターの構成(class="Machine")であることを考慮すれば、「ローカルグループポリシーエディター(Gpedit.msc)」で簡単に探しているポリシーを見つけることができます(前出の画面2)。
Windows 10の「サポートされているプラグアンドプレイデバイスのリダイレクトを許可しない」のヘルプの説明には、「既定では、サポートされているプラグアンドプレイデバイスとRemoteFX USBデバイスのリダイレクトが、リモートデスクトップサービスで許可されていません」と書いてあります。ポリシー設定の既定とは、「ポリシーが未構成の場合の動作仕様」のことです。PnPデバイスやUSBデバイスをリダイレクトできなかったのは、このポリシー設定が未構成だったからです。
同じポリシーをWindows 8.1以前と比較してみましょう(画面6)。Windows 7やWindows 8.1における同じポリシーのヘルプには、「既定では、サポートされているプラグアンドプレイデバイスのリダイレクトは、リモートデスクトップサービスにより許可されています」となっています。
これは、「サポートされているプラグアンドプレイデバイスのリダイレクトを許可しない」の既定の動作仕様は、Windows 8.1以前の「既定で許可」から、Windows 10の「既定で許可しない」に変更になったということを示しています。
筆者はこの仕様変更に関する公式な情報を確認できていませんが、例えマイクロソフトのサポートサービスに問い合わせたとしても、正しい回答を得るまでにはしばらく時間がかかるでしょう。今回の事例が、今後のトラブルシューティングのヒントになればと思います。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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