主に家族用のPCとなっているわが家のちょっと古いWindowsタブレット。奥様いわく、“数日前からドライブが真っ赤になっている”とのこと。“ドライブが真っ赤”ということは、ディスクの空き容量が残り少ないということ。緊急に対処する必要がありそうです。
問題のWindowsタブレットのCドライブを確認すると、空き領域は残り2Gbyte程度。奥様に指摘された通り、ボリュームの使用率を示すバーが赤に変わっていました(画面1)。
このWindowsタブレット、もともとはWindows 7(32bit版)がプレインストールされており、その後、Windows 8、Windows 8.1へとアップグレードしてきました。そういえば、Windows 8からWindows 8.1にWindowsストア経由で無償アップグレードする際、インストールに必要な空き領域の確保に苦労した記憶があります。
ディスクの空き領域を手っ取り早く、比較的安全に確保するには、次のような方法が考えられます。
「ディスクのクリーンアップ」(cleanmgr.exe)を初めて実行する場合は、Windows Update関連のファイルの削除で数Gbyteの空き容量を確保できるはずです。今回のPCは数カ月前にディスクのクリーンアップを実行したばかりなので、あまり空き領域を増やせませんでした。
「復元ポイントの削除」は空き領域をすぐに確保できる方法ですが、トラブル発生時のシステムの復元に影響するので注意が必要です。今回のPCはもともと容量が少ないため、システムの復元機能を無効化していました。その代わり、毎月のWindows Update後にはフルバックアップ(システムイメージ)を作成しています。なお、フルバックアップがあると、PCの環境を壊してしまっても復元できるので、空き領域を増やすためにいろいろ試してみることができます。
次なる手は「CドライブのNTFS圧縮」です。これを行うと、ファイルI/Oのパフォーマンスが低下する(PCが遅くなる)可能性はありますが、背に腹は代えられません。半日ほどかかりましたが、これで数Gbyteの空き領域を確保できました。
あとは、使わないであろうアプリケーションのアンインストールと、不要なファイルやフォルダーを削除して、少しずつ空き領域を積み上げていきます。
例えば、デバイスドライバーのインストール時などにCドライブのルートに作成される一時フォルダー(「C:\AMD」や「C:\ATI」など)は削除可能です。ユーザーのテンポラリフォルダー(%TEMP%)も、日付が前回PCを起動した以前のものであれば、削除しても大丈夫でしょう。削除後は、「ごみ箱」を空にするのを忘れずに。
不要なファイルやフォルダーを削除する際、「Program Files」や「Windows」フォルダー、その他の隠しフォルダーの中は触らない方が無難です。削除できるはずのファイルは、恐らくディスクのクリーンアップで削除済みです。と言いつつも、筆者はディスクのクリーンアップで削除されなかった「C:\Windows\Temp」フォルダーにある古いファイル(例えば、先月以前のもの)を手動で削除しました。
詳しくは説明しませんが、いろいろと積み重ねて、何とか空き領域を6.76Gbyteまで増やすことができました(画面2)。
「Windows」フォルダーをもっとスリムにできないものかと考えていたところ、役に立ちそうなドキュメントをマイクロソフトのサイトで見つけました。
管理者権限で次のコマンドラインを実行すると、Windows Updateなどで更新されたコンポーネントの古いバージョンが「コンポーネントストア」(「C:\Windows\WinSxS」フォルダー)から削除され、コンポーネントストアのサイズを小さくできるというのです。早速、今回のPCで試してみました。Windows 8.1にしてからもうすぐ1年、ずいぶんと更新があったので、これは期待できそうです。
Dism.exe /Online /Cleanup-Image /StartComponentCleanup /ResetBase
ところが、コマンドの実行途中で「エラー:1726 リモートプロシージャコールに失敗しました」というエラーが発生します(画面3)。「/ResetBase」オプションなしの場合は100%完了しますが、このオプションを付けると何度やっても失敗します。
コマンドの実行結果にあるように、ログファイル「C:\Windows\Logs\DISM\dism.log」を確認してみると、「08:38:45」あたりにエラーが発生していることが分かりました。さらに詳細なログは「C:\Windows\Logs\CBS\cbs.log」に書いてあるというので、そちらを確認すると、同時刻に「korwbrkr.lex」というファイルの移動で問題になっているようです(画面4)。
「DISM」「1726」「korwbrkr」をキーワードにインターネットを検索すると、答えはすぐに見つかりました。Windowsのコミュニティフォーラムで同様のトラブルに関する質問があり、回避策が示されていました。
フォーラムの投稿にあるように、「Windows Sysinternals」の「Process Explorer」を使って、「korwbrkr.lex」を検索してみると、「SearchIndexer.exe」(Windows Searchサービス)が「korwbrkr.lex」をつかんでロックしている様子が分かります。「SearchIndexer.exe」のプロセスを強制終了(Kill Process)、またはWindows Searchサービスを停止することで、DISMコマンドのエラーを回避することができました(画面5、画面6)。なぜ「C:\Windows\System32\ korwbrkr.lex」のファイルロックが「C:\Windows\WinSxS」フォルダーに影響するのかと疑問に思うかもしれませんが、その仕組みを説明すると話が長くなるので、また別の機会に。
さて、DISMコマンドによる「WinSxS」フォルダーのクリーンアップの結果はというと、空き領域は6.84Gbyteに、つまり追加で約80Mbyteを手に入れることができました。別のPCでも試してみましたが、削減効果は数十〜数百Mbyte程度。ちょっと期待外れでした。
もしかしたら、ディスクのクリーンアップの「Windows Updateのクリーンアップ」がすでに同じようなことをしてしまっていたのかもしれません。念のために言っておきますが、「WinSxS」フォルダーもそうなのですが、「Windows」フォルダーの中はかなり複雑になっているので、決して自分の判断でファイルやフォルダーを削除しないでください。トラブルの元です。
最近のPCは大容量HDD/SSDを搭載しているので、Cドライブの空き容量で苦労することはなくなりました。しかし、SSD搭載の低価格タブレットとなると容量が限られます。そんなデバイスをお持ちの皆さんは、Cドライブの空き領域の確保に今回の筆者と同じように苦労しているのではないでしょうか。
Windows 8.1をクリーンインストールした場合、「Windows」フォルダーは7Gbyte程度だったはずです。複数のPCで確認しましたが、どれも1年もたず20〜30Gbyteに肥大化しています。この「Windows」フォルダーの肥大化には、Windows Updateによる更新が大きく関係していると思います。毎月の更新で着実に太っていくWindowsに、今回のPCがいつまで対応できるのか心配になってきました。
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2014)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手がける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.