空き領域不足のWindowsタブレットを劇的ダイエット山市良のうぃんどうず日記(22)

本連載第15回で登場した、主に家族用のPCとなっているわが家のちょっと古いWindowsタブレットのその後の話。ついに、空き容量が1GB台になってしまいました。

» 2014年12月19日 18時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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12月のWindows Update問題、わが家は再び空き領域不足問題に

 2014年のWindowsは、アップデートに振り回された1年だったような気がします。4月の「Windows 8.1 Update」(KB2919355)のドタバタが懐かしく思えるほど、最近はWindows Updateに関するトラブルが続いています。先日の12月の定例更新でも、複数の更新プログラムが問題になったようです。企業や個人を問わず、更新プログラムの撤回や再リリースに振り回された人は多いのではないでしょうか。

 12月の更新プログラムの不具合とは全く関係のない話なのですが、わが家のPCの1台が12月の更新プログラムのインストール後にちょっと大変な状況になってしまいました。本連載で9月に「あのころ、君はもっとスリムだったはず」と題して、ディスク空き領域不足を解消しようと四苦八苦したWindowsタブレットが再び空き領域不足になってしまったのです。

 このWindowsタブレットにはもともとWindows 7がプレインストールされており、その後、Windows 8、Windows 8.1とアップグレードインストールで現在の状態になっています。内蔵ディスクはカタログスペックで32GBのSSDですが、実際には30GB弱です。

 9月の空き領域不足のときには、Windows標準のさまざまな方法で残り2GBだったCドライブの空き領域を、何とか7GB近くまでに増やすことができました。しかし、12月の更新プログラムをインストールした直後、Cドライブの空き領域はとうとう1GB台になってしまいました(画面1)。やれることの多くは前回やってしまったので、もう空き領域を劇的に回復する手段は残っていません。

画面1 画面1 12月の更新プログラムをインストールしたあと、Cドライブの空き領域はついに1GB台に

新規インストールなら空き領域を確保できるはず……

 問題のWindowsタブレットは、新しいアプリケーションをインストールすることはありませんし、ドキュメントや画像ファイルは全てSDカードに保存するようにしています。空き領域不足の原因は、毎月のWindows Updateにあると見て間違いないでしょう。

 このWindowsタブレットは9月にフルバックアップ(システムイメージの作成)を実行してあるので、この機会にWindows 8.1を新規インストールして最初から環境を作り直すことにしました。Windows 8.1 Update(KB2919355)が適用済みのWindows 8.1インストールメディアを使用して新規インストールすれば、十分な空き領域を確保できると考えたからです。

 Windows 8.1 Update(KB2919355)適用済みのインストールメディアは、以下のサイトで作成したものを使用しました(画面2)。このサイトはアップグレードユーザー向けのもので、作成したUSBメディアまたはISOイメージからWindows 8またはWindows 8.1のプロダクトキーを使用してWindows 8.1の新規インストールが可能です。

画面2 画面2 Windowsのアップグレードユーザーは、このページでWindows 8.1 Update(KB2919355)適用済みのインストールメディアを作成できる

 今回、Windows 8.1の新規インストールを決断した理由はもう一つあります。2014年11月中旬に公開された32ビット用で448.4MB、64ビット用で711.1MBという極端にサイズの大きな更新ロールアップ(KB3000850)が、適用すべき更新プログラムの削減に期待できそうだったからです。この更新ロールアップは、いくつかの新機能追加や機能強化に加え、Windows 8.1 Update(KB2919355)以降の修正プログラムを含んでおり、Windows Updateではオプションの更新プログラムとして配布されています。

This November update rollup also includes all previous updates since the previous image update in April 2014.

 12月にも更新ロールアップ(KB3013769)が出ていますが、こちらは32ビット用で29.8MB、64ビット用で55.9MBと11月の更新ロールアップと比べるとサイズはそれほど大きくなく、以前の更新を含む、4月以降の全ての更新プログラムを含むような記述もありません。また、12月の更新ロールアップは一部のマルウェア対策ソフトとの組み合わせでクラッシュするという不具合があるようですのでご注意ください。これも12月のWindows Update問題の一つです。

新規インストールの前にやっておくべきこと

 もし今現在、Cドライブの空き領域不足に悩んでいて、本連載を参考に新規インストールにチャレンジしようと考えているなら、まずはシステムのフルバックアップを取得してください。それが不可能であれば、ユーザーデータや重要な設定情報のバックアップをした上で、自己責任で実施してください。また、作業を開始する前には、ご使用中のPCに必要なWindows 8.1対応のデバイスドライバーを一通り用意しておくことをお勧めします。

 筆者の場合は、数カ月前に作成したフルバックアップがあり、データはSDカードに保存してあるので、「Outlook 2013」のメールデータ(受信トレイや連絡先)をOutlookデータファイル(.pst)にエクスポートしました。デバイスドライバーは、Windows 8からWindows 8.1にアップグレードインストールしたときに用意したものが残っていましたが、念のためメーカーのサイトで最新版の有無を確認しました。

 作業を開始してから慌てたのは、「Internet Explorer」(IE)の「お気に入り」をエクスポートすることをすっかり忘れていたこと。しかし、Windows 8.1がMicrosoftアカウントの「OneDrive」に同期していてくれました。Windows 8.1の新規インストールの最終段階で同じMicrosoftアカウントでセットアップしたら、初回のサインイン時にデスクトップの背景などとともにIEの「お気に入り」も自動的に復元されました。

16個の更新のスキップで、空き領域は21GBに

 Windows 8.1 Update(KB2919355)の適用済みメディアでWindows 8.1を新規インストールしたところ、インストール直後のディスクの空き領域は21.4GB(使用領域8GB)になりました(画面3)。このあと、メーカーが提供するデバイスドライバーやユーティリティをインストールし、手動でダウンロードしておいた更新ロールアップ(KB3000850)関連の三つの更新プログラムをインストールしました。

画面3 画面3 Windows 8.1 Update(KB2919355)適用済みインストールメディアで新規インストールした直後の状態。Cドライブの使用領域は8GB、空き領域は21.4GBに

 ちなみに、更新ロールアップ(KB3000850)をインストールする前に、Windows Updateで更新プログラムを確認したところ、52個の重要な更新プログラムと5個のオプションの更新プログラムが検索されました。更新ロールアップ(KB3000850)のインストール後は、これが36個の重要な更新プログラムと3個のオプションの更新プログラムに減少しました(画面4)。更新ロールアップ(KB3000850)により、16個の重要な更新プログラムをスキップできたことになります(画面5)。

画面4 画面4 Windows Updateの前に更新ロールアップ(KB3000850)を手動でインストールする
画面5 画面5 更新ロールアップ(KB3000850)をインストールして再起動したあと、Windows Updateを実行すると、16個の重要な更新プログラムが検出されなくなった

アプリのインストールと更新で空き領域は9GBまで減少

 この後は空き領域をあまり気にすることなく、「Office 2013」アプリケーションやマルウェア対策ソフト、「Adobe Reader」など、必要最小限のアプリケーションソフトをインストールし、Windows Updateでオプションを含め新しい更新プログラムが検出されない状態にしました。Windowsタブレットが元の状態に戻ったこの時点で、Cドライブの使用済み領域は20GB以上、空き領域は9GB台までに減少しました。

 ここからCドライブの空き領域を増やすため、以下の操作を実施します。さて、9GB台まで減少したCドライブの空き領域をどこまで回復することができるでしょうか。最後の「WinSxS」フォルダーのクリーンアップについては、本連載第15回「あのころ、君はもっとスリムだったはず」で説明しました。

  • 「復元ポイント」の削除と無効化
  • 「C:\Program Files」フォルダーのみを対象に「NTFS圧縮」を有効化
  • 「ディスクのクリーンアップ」(cleanmgr.exe)でシステムのクリーンアップを実行
  • 「WinSxS」フォルダーのクリーンアップ(「Dism.exe /Online /Cleanup-Image /StartComponentCleanup /ResetBase」コマンドの実行)

 最終的なCドライブの使用済み領域は15.5GBで、空き領域を13.9GBまで増やすことができました(画面6)。Cドライブ全体をNTFS圧縮すれば、さらに空き領域を確保できると思いますが、パフォーマンスへの影響を考えて「Program Files」フォルダーだけにとどめました。これだけの空き領域があれば、2015年後半とウワサされる次期バージョンのWindows 10が登場するまで持つのではないでしょうか。

画面6 画面6 Cドライブの空き領域を解放するいくつかのテクニックを使って最終的に13.4GBの空き領域を確保できた

 Windows 10へのアップグレードインストールにも支障はなさそうです。32ビットWindows 8をWindows 8.1にWindowsストア経由でアップグレードインストールした際には、約3GBの空き領域を要求されました。

 最後に、システムの動作に問題がないことを確認した上で、システムイメージのバックアップを作成し、いつでもこの時点の状態にPCを回復できるようにしておきましょう(画面7)。Windowsを新規インストールから実際に使えるようにするまでは、かなりの時間と手間が掛かります。フルバックアップがあれば、そんな手間を繰り返す必要がありません。特に、クリーンな状態で作成したフルバックアップは安心感が違います。

画面7 画面7 最後にシステムイメージの作成を実行して、フルバックアップをUSBディスク、または別のPCやNAS(Network Attached Storage)の共有フォルダーに作成して終わり

企業クライアントPCのマスターイメージも見直してみては?

 企業では標準的なクライアントPCのマスターイメージ(Sysprep済み汎用イメージ)を使用して、「Windows展開サービス」(WDS)やその他の方法で、クライアントPCの大量展開や新しいPCのセットアップを簡素化していると思います。

 筆者が今回行ったCドライブの空き領域の確保のテクニックは、企業クライアントPCのマスターイメージを小さく維持するヒントにもなるのではないでしょうか。毎月毎月マスターイメージを更新して鮮度を保つのでは、イメージのサイズがどんどん大きくなってしまいます。イメージをゼロから作り直すことで、イメージのサイズを劇的に小さくできる可能性があります。

最新情報

2014年12月17日に11月の更新ロールアップ(KB3000850)が適用済みのWindows 8.1のインストールメディアが、MSDN(Microsoft Developer Network)サブスクリプションやボリュームライセンスセンターで公開されました。これらのインスールメディアを使用すれば、さらに空き領域を確保できる可能性があります。


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筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2014)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手がける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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