アップグレード後に問題が発生し、その問題を解消する手段が見つからない場合は、「設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」にある「以前のビルドに戻す」でWindows 10の古いバージョンにロールバックすることができます(画面5)。「以前のビルドに戻す」は、アップグレード後、おおよそ1カ月ほどで利用できなくなるため、1カ月以内に判断しましょう。
Windows 10の古いバージョンにロールバックした場合、次のWindows Updateに再び新しいバージョンが配信されるでしょう。そのままアップグレードが開始されてしまうと大変です。アップグレード後にまた、アップグレードインストールと以前のビルドに戻す作業を繰り返すはめになってしまいます。
この問題を“一時的”に回避するには、以下のマイクロソフトのサイトからダウンロードできる「Show or hide updates」トラブルシューティングツールを実行して、アップグレード用の更新をブロックするとよいでしょう(画面6)。
これはあくまでも“一時的”な回避方法です。Windows 10の既定の更新ブランチであり、Windows 10 Homeの唯一の更新ブランチである「Current Branch」では、最新バージョンのWindows 10を実行中のPCにのみ、更新プログラムが提供されることになっています。古いバージョンのWindows 10のままでは、いずれセキュリティ更新プログラムが提供されなくなるでしょう。
問題の解消の見込みがないのなら、無料アップグレード前のWindows 7やWindows 8.1に戻し、これらのサポート期限まで使い続けることが、そのPCを今後も安心して使える最良の方法かもしれません。Windows 7は2020年1月15日、Windows 8.1は2023年1月11日(いずれも日本時間)までサポートされます。
Windows 7やWindows 8.1からWindows 10へのアップグレード後、1カ月は「設定」「更新とセキュリティ」→「回復」で「Windows 7に戻す」または「Windows 8.1に戻す」を利用できましたが、この機能はもう利用できません。
Windows 10へのアップグレード後1カ月以内であっても、Windows 10の新しいバージョンへのアップグレード後のロールバックによって、この機能は使えなくなっているはずです。Windows 7やWindows 8.1に戻すには、PCに付属していたリカバリメディア、Windows 7やWindows 8.1時代のバックアップが必要です。
アップグレードインストールは慎重に行うべきものです。アップグレードインストールの前には、フルバックアップを作成して、万が一に備えることを強くお勧めします。え! もう遅いって。
Cドライブの容量に不安を感じているのなら、アップグレードが問題なく完了し、アップグレード後の使用にも問題がないことを確認したら「ディスククリーンアップ」ツールを実行して、「以前のWindowsのインストール」と「一時Windowsインストールファイル」を削除できます。
これらのファイルは「以前のビルドに戻す」を可能にするために約1カ月間保持されている「C:\$Windows.~BT」および「C:\Windows.old」フォルダーのことです。筆者のPCでは、8GB以上のディスク領域を解放することができました(画面7)。環境によっては、数十GBのディスク領域を占有していることもあります。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.