以前の「PC settings」の後継である「設定(Settings)」は、大きくリニューアルされました。従来のコントロールパネルも残っていますが、Windowsのほとんどの設定と管理操作は、「設定(Settings)」から実行できるようになっています。
従来のコントロールパネルと新しい「設定(Settings)」に同じ設定が重複して存在するのはどうかと思うところもありますが、これは開発中のビルドの過渡的なものだと思います。
例えば、ビルド9926のコントロールパネルから「Windows Update」は削除され、Windows UpdateのUIは「設定(Settings)」の「保守と管理(Update and recovery)」→「Windows Update」だけになりました(画面10)。言語設定は、コントロールパネルと「設定(Settings)」の両方にありますが、システムロケールの変更はコントロールパネルからのみ実行できます(画面11)。
従来のコントロールパネルがこのまま残るのか、「設定(Settings)」に置き換わるのかは、今後の注目ポイントでしょう。筆者の個人的な意見としては、全て「設定(Settings)」に置き換えて、細かい調整はコマンドプロンプトやWindows PowerShellで操作できるようにするのがよいと考えています。
1月21日に発表された、「Internet Explorer」(IE)とは異なるユニバーサルアプリの新しいブラウザー「Spartan」は、ビルド9926には搭載されていません。ビルド9926には、引き続きIE 11が搭載されています。
少し前からウワサになり、公式ドキュメントでも言及されていた、IEのユーザーエージェントやWindowsの内部バージョンが「10」になるという話は、ビルド9926で現実のものとなりました。
Windowsの内部バージョンは「バージョン10.0(ビルド9926)」「Version 10.0.9926」になり、IE 11の標準の(Edgeドキュメントモードの)ユーザーエージェントには、「Windows NT 10.0」の文字列が含まれています(画面12)。
筆者はまだ、Windows 10 Technical Previewのビルド9926を数時間試用しただけです。表に現れていない変更点は、いくつもあると思います。とり急ぎ、筆者が気になっていた点、あるいは気付いた点を紹介します。
Windows Server Technical PreviewやWindows 10 Technical Previewから「Windows Identity Foundation 3.5」の機能が削除され、一部のアプリケーション(SharePointやDynamics CRMなど)の互換性に問題が生じていましたが、Windows 10 Technical Previewのビルド9926には「Windows Identity Foundation 3.5」の機能が復活していました(画面13)。Windows Server Technical Previewの次期公開ビルドでも、復活することになるのでしょうか。
Windows 8で採用されたフラットな「スタート画面」、そしてスワイプ操作や画面右端へのカーソル移動、あるいは[Windows]+[C]ショートカットキーで出現する「チャーム」は、ビルド9879までは存在しましたが、ビルド9926には存在しないようです(画面14)。
タブレットモードのUIと新しい「アクションセンター」(Windows 8.1のコントロールパネルにあるものとは違う新しい通知機能)が、これらのUIを置き換えたということになるのでしょうか。Windows 8.1のチャームを出すタッチ操作(画面右端から内側にスワイプ)すると、新しい「アクションセンター」が出現するようになっています。
Windows 8/8.1の操作にようやく慣れてきたという人は、結構多いと思います。Windows 8以降の度重なる操作性の変更は、戸惑うばかりです。そんな筆者のメインのPCはいまだWindows 7。Windowsアイコンの上で右クリックして、よく空振りしています。
Windows 10 Technical Previewの以前のビルドやWindows 8.1からなくなったものとしては、アクセサリの「電卓」(calc.exe)があります。ビルド9926ではモダン(ストア)アプリ版の「電卓」に置き換えられました。「calc.exe」は同じ場所に引き続き存在しますが、これを実行すると、モダンアプリ版の「電卓」が開始するようになっています(画面15)。
この変更で気になるのは、Windows Server Technical Previewの次期ビルドで従来のWindowsアプリケーションの「電卓」(calc.exe)がどうなるかです。Windows Serverだと「デスクトップエクスペリエンス」機能を追加しなければ、モダンアプリはインストールされませんし、「デスクトップエクスペリエンス」機能を追加したとしてもビルトインのAdministratorについてはモダンアプリを開くことができません。Windows Serverの管理者は、ちょっとした計算のために物理的な電卓を準備しておいた方がよいかもしれません。
Windows 10 Technical Previewでは、コマンドプロントが何気に強化されています。例えば、[Ctrl]+[C]キーや[Ctrl]+[V]キーが普通に使えるようになっているのですが、こうした強化点はコマンドプロンプトのプロパティの「Experimental」タブで調整できました。
ようやく日本語化されたので、コマンドプロンプトのプロパティを開いてみたところ、「実験用」タブの「実験用コンソール機能」だそうです(画面16)。実験的な実装という意味だと理解しているのですが、もっとよい翻訳はなかったのでしょうか。
この他、表示用の日本語フォントが美しくない(個人的な感想)、日本語を含むタイトルのウィンドウの[−(最小化)][□(最大化)][×(閉じる)]アイコンの表示位置が上にずれるなど、日本語化により美観が損なわれているような感じがしました。日本語環境に関しては、“あともう少しです”。
Windows 10 Technical Previewの以前のビルドでは、フロッピーディスクのサポートが提供されていませんでした。ビルド9926では、フロッピーディスクのサポートが復活しています。
今回、Windows Server Technical Previewの新しいビルドは提供されていませんが、Hyper-Vに関しては、64ビット版Windows 10 Technical Previewの「クライアントHyper-V」で、更新された最新バージョンのHyper-Vを日本語の「Hyper-Vマネージャー」でいち早く試すことができます(画面17)。
Windows Server Technical PreviewやWindows 10 Technical Previewの以前のビルドから機能的に大きな更新はなさそうですが、新規作成した仮想マシンの構成バージョンは以前の「6.0」から「6.2」に変更になっていました。
Windows 10 Technical Previewビルド9926の「Hyper-Vマネージャー」から、Windows Server Technical Previewビルド9841のHyper-Vにリモート接続しても、仮想マシンの一覧が表示されない、仮想マシンの新規作成がエラーになるなど、互換性の問題があることを確認しました。この互換性の問題には、仮想マシンの構成バージョンの変更が関係しているのかもしれません。
Windows 10 Technical Previewビルド9926の操作や管理は、以前のビルドやWindows 8.1とは多くの部分で異なっています。まずはスタートメニューから「開始する」アプリを開いて、新機能や変更された操作方法について、一通り確認することをお勧めします(画面18)。
なお、「開始する」アプリは、「すべてのアプリ」の一覧では「か」にはなく、「漢字」に分類されています。この中りの日本語環境も“あともう少しです”。
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2015)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手がける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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